敷地約16坪。北側約7Mの道路。
その他3面は設計段階では更地で、これからどんな建物が建つのか
まったく予想もつかない状況だった。
施主の希望は駐車スペースの確保と
家族5人が仲良く暮らせる空間構成。

限られた敷地の中で、ある程度の床面積は確保しながらも、
採光や風の抜けを考え、南側に配置した2Fリビングは
吹き抜けとし、高い天井とすることで
床面積以上の広さを感じるつくりとした。

駐車場を設けるために南側境界線に寄せた配置から
採光が期待できなかったため、吹き抜けとして
東側の壁に高窓を設け、朝はそこからたっぷりと朝の光が
降り注ぐようにした。
まだ薄暗い部屋にゆっくりと朝日がリビングにさしこみ
壁にうつるその光と空間は朝を神聖に感じさせてくれる。
南側には窓!にこだわらずとも
その場に最適な開口部の設け方があり、
設計する上でとても大切な作業だと実感した。
北側に設けたキッチンの隣には奥行きのあるバルコニー。
ハーブを育てたり、ねころがって本を読んだり、
外部もリビング化することで季節ごとのリビングでの楽しみ方が変わる。
コンパクト空間であること、また家族の気配が感じられるように、
空間を仕切らずにひとつのワンルームのようにするため、
断熱材はセルローズファイバーを採用した。

またそこで育つこどもたちが健やかに育つよう、
自然のシンプルな素材で壁はホタテの塗壁材、
床は無垢材のオイル仕上げとした。
この巣箱のような小さな家で育った3人のこどもたちが
いつか巣立つ日まで太陽の光や、吹き抜ける風、
季節を少しでも感じ取りながら感受性豊かに育ちますように。